亭々として天を摩する老杉あり。
周囲二十余尺 (七米余) 樹高百尺 (三十米余) 木肌の一つ一つに千数百年の世の盛衰栄枯の歴史を秘め黙して語らず。
須佐神社はもと宮内部落の東南にある宮尾山山麓にありしを、五十三代淳和天皇の天長年間 (西暦 824 ~ 833) に、現社地に遷されたと伝うから、樹齢は約千三百年を算えることになろう。
近在にまれに見る巨木なり。社殿の西を流れる素鵝川の、その清冽な流れのせせらぎは、太古のままを奏で、古文書が伝う稲田姫を祀る分社 (ワカンベ 現在、ゆかり館前の社址地に剣が埋めてあると古老が語る本叢草天文年中に本社へ合祀) へ渡る黒木の橋を写して流れたであろう名残をとどめて今も澄んでいる。